盛田日光工場=2023年9月、日光市土沢

 国内大手食品関連グループのJFLAホールディングス(HD、東京都中央区)と子会社でしょうゆ・酒類・調味料製造販売の盛田(名古屋市中区)は5日までに、取締役会を開き、日光市土沢の「盛田日光工場」のしょうゆ・調味料製造事業を分割して新会社を設立し、新会社の全株式を酒類関連企業コンサルティングの伝統蔵(東京都中央区)に譲渡することを決めた。新会社の名称は「高橋弥次右衛門(たかはしやじえもん)商店」で、日光工場の閉鎖方針を転換し、かつての地元老舗の名前が復活する。

 盛田日光工場は昨年9月、JFLAHD傘下の子会社16社の再生計画で、閉鎖の方針が打ち出されていた。同HDによると、同12月、伝統蔵から同事業を譲り受けたいという申し出があったのを機に閉鎖を再検討。地域雇用を守り、ブランドの承継を図ることが再生計画にも合致するとして方針を転換したという。

 同HDの多田安臣(ただやすおみ)経営企画室長は「地元の名門企業の事業だけに、多くの人に愛されていた。ブランドと伝統を守り、事業を継続させた方が良いと判断した」と話した。

 盛田の日光工場事業の売上高は5億3700万円(2023年3月期)。盛田は新会社の高橋弥次右衛門商店を今年7月1日に設立し、同日、伝統蔵に株式譲渡する予定。代表取締役には伝統蔵の山岸逸人(やまぎしはやと)社長が就く。

 日光工場では取締役会が開かれた2月29日、従業員約30人を対象に説明会が開かれ、同工場事業の分割、新会社設立、雇用の継続などが説明されたという。

 日光工場の鎌田光一(かまたこういち)管理部長は「昨年9月に方針が示されたが、閉鎖時期が未定だったので従業員は不安だった。方針転換で皆、安堵(あんど)したと思う」と話した。