修復する予定の愛染堂と源田住職

彩色を施した完成予定図

修復する予定の愛染堂と源田住職 彩色を施した完成予定図

 【足利】「ピンポン寺」の愛称で知られる猿田町の徳蔵寺は、老朽化が著しい「愛染堂」を修復する方針を決めた。修復費を賄うため昨年末から、クラウドファンディング(CF)に取り組んでいる。2月末までに100万円を募る考えだ。源田晃澄(げんだこうちょう)住職(81)は「鮮やかなお堂を後世に残し、観光振興や地域活性化にも寄与したい」として、協力を呼びかけている。

 愛染堂は1753年、渡良瀬川を利用する運送問屋の寄付で建立された。堂内に安置された愛染明王像は、平安期の高僧円仁(えんにん)の作とされ、市文化財に指定されている。

 堂は建立から230年が経過し、木部の虫食いや腐敗が進んでいる。昨春には獅子彫刻の頭部が落下してしまった。

 修復に向け、日光市の「佐和漆工芸社」に調査を依頼すると、彫刻の赤い塗料の下に彩色の跡があることが判明。85年前に描かれた堂の絵画でも確認し、創建当時は彫刻などに彩色が施されていたことが判明した。このため、寺は堂の維持も兼ねて、彩色された姿で修復する方針を決めた。

 そこで課題となるのが、財源の確保だ。堂自体は文化財に指定されておらず、自治体からの補助金は得られないことから、費用をCFで賄うことに。修復費の総額は5千万円で、まずは100万円を目標額とした。

 CFは2月末まで、専用サイト「キャンプファイヤー」で受け付けている。お守りや記念御朱印、数珠などが付く3千円~10万円の8種類のほか、返礼品のない応援コース(金額は任意)がある。未達成の場合は不成立となる。その場合でも3月から彫刻の彫替に着工する予定という。

 平安時代末ごろの開創と伝わる同寺。境内に卓球台を置いて地域の人と交流を深める活動を1976年から始めた。毎年1回、ピンポン大会も開いている。