

5期20年目を迎えた現職の佐藤栄一(さとうえいいち)氏(62)。任期満了まで1年を切った昨年12月時点で「まだ考える余裕はない」と態度を明らかにしていない。多選批判が避けられない中、6選出馬に踏み切るか動向が注視される。
長く懸案だった次世代型路面電車(LRT)は昨年、開業にこぎ着けた。利用は堅調で経済効果への期待から、JR宇都宮駅西側延伸を望む声は高まっている。今後本格化する延伸計画のかじ取りを、佐藤氏に引き続き求める向きもある。
支持基盤である市議会最大会派の自民党議員会は、LRTの実現を評価。現時点では静観の構えだが、ベテラン市議は「現職の意向を支持する。保守分裂の要素もない」と明かす。
前回選挙で共闘した野党も表立った動きはない。立憲民主党、共産党いずれも「対抗馬の擁立を目指す」としている。

前回一騎打ちの選挙戦で4選を果たした現職の佐藤信(さとうしん)氏(77)は、任期満了まで半年となる昨年12月の定例市議会で進退表明を見送った。「後援会と相談しながら、しかるべき時に判断したい」と話す。前回も3カ月前に出馬表明しており、他陣営の動きを見ながら最終判断する構えだ。
前回選挙で推薦候補が敗れた自民党は、独自候補の擁立を目指している。前回の戦い以降、鹿沼の党組織にほころびが見られており、一体感を醸成できる候補者を擁立できるかが鍵になりそうだ。

1期目の現職浅野正富(あさのまさとみ)氏(66)は立候補の意向を明らかにしていない。ただ、最重要施策として精力的に取り組む市の長期指針「田園環境都市おやまビジョン」の策定を2024年度末としているだけに、再選を目指すのは確実視されている。
前回は告示約1カ月前に出馬表明。「多選の弊害」を訴え、6選を目指した大久保寿夫(おおくぼとしお)氏を退けた。今回は、大久保氏側にいた自民支持層への浸透が鍵。
自民関係者の間では対立候補を模索する動きはあるが、次期衆院選対応が優先課題とされ、人選は難航しているとみられる。

3選を目指す現職の斎藤淳一郎(さいとうじゅんいちろう)氏(51)が無所属での立候補を表明している。
前回市長選で元市議会議長との一騎打ちを制した斎藤氏。前回同様、青木克明(あおきかつあき)県議(71)の応援を受ける。昨年12月の後援会総会で斎藤氏は「矢板の未来を切り開かせてもらいたい」と訴えた。
一方、自民党系などには、対抗馬擁立を望む声がある。水面下で候補者擁立を探っている段階だ。

引退をほのめかしていた現職の真瀬宏子(ませひろこ)氏(77)は昨年11月、記者会見を開き、「新たな意欲が湧いた」として5選を目指し無所属で立候補することを正式表明した。これを受ける形で同月、町議の黒川広(くろかわひろし)氏(73)が「真瀬氏の多選を危惧する声は多い」と訴え、無所属で立候補する意向を示した。選挙戦は確実で、2人の他にも立候補を模索する動きがある。

現職の見形和久(みかたかずひさ)氏(70)が4選を目指し無所属での立候補を表明している。
見形氏は昨年12月の定例町議会一般質問で農業・農村の活性化や公共施設の統廃合など課題が継続しているとして「ここで辞めて後の人にお願いするには課題が多過ぎる」と述べた。
現時点で他に表立った動きはないが、自民党系を中心に候補者擁立を模索する動きがある。