ダイハツ工業の品質不正問題で、県内のユーザーや販売店にも不安や困惑が広がっている。国土交通省が本社の立ち入り検査に入った21日、販売店には問い合わせの電話が相次ぎ、担当者も「知らなかった。ショック」と肩を落とした。車の愛用者は「裏切られた気持ち」と憤った。
宇都宮市の栃木ダイハツ販売宇都宮北店では同日、午前9時半の開店直後から電話が鳴りやまなかった。
全車種が出荷停止となった異例の事態。「私の車は大丈夫でしょうか」。多くのユーザーから率直な不安の声が寄せられた。同店の担当者は「不安をあおる報道もある。お客さま一人一人に、丁寧な説明を尽くしている」と話す。
一方、例年であれば新年の初売りに向けてアピールを強化する時期。担当者は「昨日の報道まで何も知らされていなかった。ショックです」と声を落とした。
県内外で五つの販売店を展開する県南の自動車販売会社では、ダイハツの車種が販売台数の3割を占める。50代男性社長は「コスパがよく人気がある」と話す。ユーザーからの問い合わせが相次いでいるため、男性社長は「メーカーにはできるだけ早く正確な情報を伝えてほしい」と望んだ。
不信感はユーザーにも影を落とす。ダイハツの軽乗用車を愛用している大田原市、女性(73)は「100%信頼していたのでがっかり。裏切られた気持ちだ」と声を落とした。
影響は自治体にも及んでいる。県管財課によると、不正があった車種に該当する公用車は全庁で約40台あるという。同課の担当者は「不正車両に当たるかはまだ分からないが、職員の安全に関わることなのでリコールなどの通知が届いた場合は速やかに対応する」と話した。