県内上場企業16社の2023年8、9月中間決算が11日までに出そろった。前年同期と比較できる15社のうち、経常損益ベースで見ると増収増益は7社、減収減益は3社だった。円安による為替差益の計上などで増益となった企業が目立った一方、新型コロナウイルス下の特需が一服し、反動減の影響を受ける企業もあった。
増収増益となった企業のうち藤井産業は、猛暑の影響もありエアコン商材販売などが好調に推移。売り上げ、利益ともに過去最高となった。レオン自動機は食品生産の自動化ニーズの高まりから、加工機械の販売が国内外で堅調だった。
タツミは自動車メーカーの生産回復で受注が計画を上回り、為替差益もあって中間期としては5期ぶりに黒字化した。ムロコーポレーションも為替差益の計上と、価格転嫁などが奏功した。
コロナ下の行動制限緩和に伴い、元気寿司は来店客数が増加。カワチ薬品は美容商品などの売り上げ回復に加え、店舗での節電対策も奏功した。フライングガーデンは新商品の販売が好調だった。
増収減益は2社。足利銀行は手数料収入が増えたが、米金利上昇で外貨調達費用が増加。仙波糖化工業は国内外で売り上げが堅調だったが、為替差益が前期を下回った。
減収増益は3社。栃木銀行は有価証券利息配当金が減ったが、国債等債券売却損も大幅に減少。東京鉄鋼は製品出荷が減った一方、原材料価格は想定より抑えられた。滝沢ハムは競争激化で加工品などの販売数量が減ったが、価格改定もあり2期ぶりに黒字となった。
減収減益のうちMipox(マイポックス)は、半導体市場の低迷でハイテク関連製品などの需要が落ち込み、赤字となった。デクセリアルズとグランディハウスは、コロナ下で拡大した需要の反動減が響いた。
カンセキは非連結決算に移行したため前年同期比を算出していないが、原材料高などが響き赤字となった。
通期の業績予想は5社が上方修正。中間期の業績などを踏まえ上方修正する社が目立った。一方、コスト面が不透明として予想を据え置く社があったほか、カンセキは未定とした。