-高校2年と小学6年の男の子の父親。子育ては創作に生かされているのか。

 親になっていなかったら、絵本は作れなかった。絵本は自分に向けての制作だが、誰にも共感してもらえなかったら商品にならない。でも、子どもを見ると、自分が子どもの頃に思っていたことと同じことを考えたり、同じところでつまずいたり、同じことで大人に対して怒ったりしている。自分の考えはある程度共感してもらえるんだと裏が取れる。逆に「それは新鮮だわ」と気づかせてくれることもたくさんある。

 -絵本に登場するお母さんは大抵無愛想で、笑っていないのが印象的。

 経験上、子育てで笑顔になる場面はめったにない。ほとんど怒っている。長男が赤ちゃんの時に寝なくて大変だった。ふと「子どもをつくってよかったんだろうか」と思った時に自分で傷ついた。笑顔は人を傷つけることもあるとその時に気がついた。ただニコニコしているのは、いろんな理由で笑うことができない人を傷つける。不要な笑顔は描きたくない、意味もないのに笑っている姿は描きたくない。十分理解できる理由がない限り笑顔は描かないと決めている。笑顔を描かなくても幸せは描けるはず。顔は怒っているけれど、子どもを愛していることは表現できるはず。

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 -子育て中の人たちにメッセージを。

 子どもが小さいうちはとにかく睡眠を確保してほしい。自分に余裕がないと子どもに対して余裕のない接し方になってしまう。

 また大人はブレる、大したものじゃないということを見せることも大事。子どもが「あんなでもいいなら自分も大人になれる」と思えるよう、大人の価値を下げておく。大人のいいかげんさに気づく年齢が遅いほどこじらせてしまうので、小さいうちから本当の姿を教えるのが誠意だと思う。

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