SOONの特集面「Webオリジナル」では、紙面とは異なる切り口で県内外に向けて“とちぎの今”を発信している。2023年に公開した数多くのWebオリジナルの中で、デジタル報道部員が特に思い入れのある記事をそれぞれ選んだ。裏話や当時の思いを振り返り、改めて記事の魅力を紹介する。
◆LRT開業日ダイジェスト(8月26日)
8月26日、宇都宮市と芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線が開業し、営業運転を始めた。
構想浮上から30年-。式典や各種イベントが盛りだくさんの歴史的な一日をリアルタイムでお届けしようと、SOON編集部からは3人の記者が現地に向かった。
まず驚いたのは、受け付けを待つ報道関係者の多さ。九州に本社がある新聞社の記者も見つけた。全国から注目されていることを再認識するとともに、地元紙として負けられないと思った。
持ち場に分かれて開業式やイベントの取材を始め、写真と短文でタイムラインを更新していく。あまりの人の出だったからか、思うように記事を更新できないことも。リアルタイムを旨とするだけに、通信環境の悪さには苦労させられた。
発車式では、力強い号令に続き、ついにLRTが動き出した。動きを伝えようと、この場面は動画に収めた。その後も宇都宮と芳賀でパレードや一番列車の出発などを取材。夕暮れの街を進むLRTの写真を撮り、一日を終えた。
開業日ダイジェストはもちろん、その後もLRT関連の記事は多くの人に読まれており、関心の高さは驚くほど。満を持して発進したLRTが地域をどう変えていくのか。紙面とは異なる切り口も交えながら発信していきたい。
>>記事>>LRT開業日ダイジェスト 現地から丸ごとお届け
◆話題の“ティラノサウルス”で宇都宮を激走(11月11日)
こわもての見た目に愛くるしい動き-。恐竜の着ぐるみ姿で激走する「ティラノサウルスレース」の醍醐味(だいごみ)だと思う。写真映像部の記者が撮った報道写真に映り込んだ“4頭”をきっかけに知り、一目でファンになった。
米国発祥の催しは、国内でも広がりをみせている。2022年に鳥取県大山町で開催されたのを皮切りに、開催数は既に100回ほどを数えたそうだ。11月には栃木市でも開かれた。
自分も恐竜になって走ってみたい。体験し読者に届けるという思いもあったが、好奇心の方が勝った。写真映像部の記者に同行してもらい、宇都宮市内を激走した。宇都宮城址(じょうし)公園の芝生でラジオ体操し、次世代型路面電車(LRT)と並走した。屈強で俊敏なイメージのティラノサウルスだが思いのほか速く走れなかった。
それでも最強の恐竜になりきり走る爽快感はたまらなかった。何より日常の自分ではなくなり、全力疾走できるという気持ちよさ。「本当はみんなティラノサウルスになりたいのでは」とさえ思うほど、ただただ楽しかった。
ブームはまだ始まったばかり。全国では、まちおこしの起爆剤としてレースを行う例もあった。県内でも“ならでは”のイベントが開催され、大いに盛り上がってほしい。今回の激走にはそんな願いも込めた。