新型コロナワクチンの秋接種を受ける男性=5日午前、鹿沼市酒野谷

 新型コロナウイルスワクチンの供給量不足により、一部自治体で予約困難な状況が続く秋接種。重症化リスクを抱える高齢者らからは「いつになったら打てるのか」と不安の声が上がる。接種主体の市町の職員も国に対し「潤沢に供給してほしい」と訴えている。

 鹿沼市で集団接種が始まった今月5日、会場となった市の公共施設には高齢者らが次々に訪れた。1日当たりの予約枠は285人。10月分(12日間)は早々に予約が埋まった。

 7回目の接種を受けた同市上南摩町、無職田辺精一(たなべせいいち)さん(75)は「昨年感染したが軽症で済んだので、また打とうと思った。初日に接種できて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 一方、県内では予約を取れない接種希望者が少なくない。基礎疾患のある那珂川町、60代男性は、町から案内が届いた当日に役場に電話したが、既に予約枠が埋まっていた。「いつになったら打てるのか不安。早い者勝ちではなく、リスクの高い人を優先してほしかった」と漏らした。

 益子町では一時、「なぜ予約できないのか」といった苦情が相次いだという。町のホームページで状況を説明し「状況の改善を図るため、国には継続的に働きかけていく」と町民に理解を求めた。

 那須烏山市は春接種を受けた高齢者や基礎疾患のある人を優先しているが、それ以外の人は予約が取りにくい状況。同市の担当者は「ワクチンの供給量が少ない。国には潤沢に供給してほしい」と訴える。市貝町の担当者も「接種できる体制は整えているが、肝心のワクチンが来ない」と困惑した様子で語った。