新幹線開業前の1978年に完成した小山駅ビル

駅東公園に保存・展示されている蒸気機関車「C50小山号」

新幹線開業前の1978年に完成した小山駅ビル 駅東公園に保存・展示されている蒸気機関車「C50小山号」

 交通の要衝といわれる小山市は、道路網に加え、東西南北への結節点として鉄道網が充実。新幹線も停車し、県内第2位の人口規模を誇る都市への発展に大きく寄与した。

 小山駅の開業は東北本線の大宮-宇都宮駅間開通に伴う1885(明治18)年7月。翌86年6月に利根川の鉄橋が完成し、完全な直通運転となった上野駅までの所要時間は2時間40分となった。間々田駅の開業は94年。敷地や一部工事費は地元住民の寄付で賄われた。

 88年5月には両毛線の小山-足利駅間、89年1月には水戸線の小山-水戸駅間が相次いで開通。小山の養蚕業と、両毛地区や茨城・結城の絹織物業との結びつきがより深まっていった。両毛線の思川駅開業は1911年だった。

 小山歴史研究会顧問の山中正(やまなかただし)さん(87)は「鉄道は市の産業発展に大きく貢献した」と指摘する。

 小麦産地としての立地を生かし、駅東には大正期に製粉工場や製菓工場が進出。駅南側にあった小山機関区には扇形車庫や転車台があり、多くの鉄道員で活気にあふれた。駅東公園に現在、展示保存されている蒸気機関車「C50小山号」はその名残といえる。

 その後は、1982年の東北新幹線開業が大きなトピックとなった。「東京と近くなってベッドタウン化し、文化や医療福祉の充実にもつながった」(山中さん)。

 新幹線開業に先立ち現在の駅ビルが完成し、周辺の都市化が進んだ。ただ、道路網の整備や車社会化の進展などで東口の工場は移転。跡地には白鴎大や商業施設が進出した。西口も含め近年は高層マンションの建設や計画が相次ぐなど、大きく変貌を遂げている。