【鹿沼】9月3日投開票の市議選に向けて、下落傾向が続く投票率に歯止めを掛けようと官民で啓発活動が活発化している。前回2019年に過去最低の51・76%を記録し、今回は「50%割れ」も懸念される状況だ。30日には市選挙管理委員会などが市内で投票啓発活動を行ったほか、市民組織「かぬま選挙割実行委員会」も投票済証を持つ市民がサービスを受けられる「選挙割」に新たな特典を設けるなど投票率アップに腐心している。
「3日は市議会議員選挙の投票日です」。30日午後4時過ぎ、暑さの残る市内商業施設で、肩からたすきを掛け買い物客に投票を呼びかける「市明るい選挙推進協議会」や市選挙管理委員会の委員の姿があった。この日は全6カ所で、啓発用のウエットティッシュ計1600個を配布した。参加した同協議会の福田和也(ふくだかずや)会長(66)は「争点が明確でないこともあり、市民の関心は高まっていないようだ」と顔を曇らせる。
市選管は広報車の巡回のほか、今回から市ホームページに選挙公報を掲載し、X(旧ツイッター)で期日前投票の方法を周知するなど、交流サイト(SNS)を活用したPRも始めた。
またかぬま選挙割実行委員会は14回目となる「選挙割キャンペーン」を実施する。投票日翌日の9月4日から17日(一部は10日)まで、市内のスーパーや飲食店、書店など12店舗で投票済証を提示すると割引などの特典が受けられる。
今回はさらに「かぬまふるさと大使」3人のサイン入り色紙や写真などのプレゼントも企画。浜野昌平(はまのしょうへい)代表(81)は「この活動で若い人などに少しでも選挙に関心を持っていただきたい」と期待を寄せる。
「平成の大合併」直後の2007年に62・85%だった市議選の投票率は、その後3回の選挙で計11ポイントも下落した。「市民に最も身近な選挙」とされる市議選でも市民の政治離れが垣間見える現状に、福田会長は「投票の権利を自ら手放さないでほしい。投票率は最低でも50%は維持したい」と活動が投票行動につながることを期待している。