歴史や自然に恵まれた栃木県には、世界に誇れる「遺産」がたくさんあります。伝統や人びとの思いを大切に、いつまでも伝えていきたいですね。
1999年12月、「日光の社寺」が世界遺産に登録されました。日光市山内にある二荒山神社、東照宮、輪王寺の103棟(国宝9棟、重要文化財94棟)の「建造物群」と、これらを取り巻く「遺跡(文化的景観)」が“引き継ぐべき人類の宝”として認められたのです。
奈良時代に勝道上人が開いた日光山は、関東の一大霊場として栄えました。古くから神のいる山として慕われる二荒山(男体山)をご神体山と仰ぐ日光二荒山神社は、山岳信仰の拠点の一つでした。江戸幕府を開いた徳川家康は、こうした「聖地日光」に自分を祀れば「八州の鎮守となる」と遺言を残しました。これが東照宮建立のきっかけです。ちなみに、「輪王寺」という建物はなく、本堂(三仏堂)や大猷院などたくさんのお堂、支院の全体を指す総称です。
山内に残る建造物の多くは、江戸時代初期のものです。当時の最高水準の技術があちこちに見られ、建築様式を知る手掛かりにもなります。樹齢数百年の大樹に囲まれた自然と社殿の景観も美しく、地元の人たちは「世界に認められた自然美、人工美をともに大切に守っていきたい」などと語っています。
日本遺産「足利学校跡」(足利市)、勝道上人も僧になるために訪れたという「下野薬師寺」(下野市)なども貴重な歴史的遺産です。