間もなく、お盆-。今年は新型コロナウイルス感染症の5類移行後、初めての夏休みを迎えています。全国的に人の流れが活発化し、「旅行者はコロナ禍前を上回りそう」という報道も見かけます。旅行の行き先や費用などにも変化はあるのでしょうか。下野新聞デジタル報道部はウェブアンケートを実施し、傾向を探りました。

宮城県を代表する観光地の松島
宮城県を代表する観光地の松島

 下野新聞社の交流サイト(SNS)などで7月24日から30日まで募集し、県内外から計169件の回答をいただきました。

 このうち「旅行に行く」と答えたのは、半数を少し上回る87人。「行かない」の82人とほぼ拮抗しています。ただ「行かない」理由をつぶさにみると、新型コロナを理由にする回答は少数派。子育てや受験に仕事-。行かないのは、日常との兼ね合いが主な要因のようです。物価高や猛暑など、世相を映す回答もありました。

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 とはいえ「旅行に行く」人の約17%(15人)は、「昨年は旅行に行っていない」と答えました。感染傾向が深刻だったころより、人々の足が旅行に戻り始めた傾向は、このアンケートからも見て取れました。ちなみに行き先で最も人気だったのは東北地方。具体的な行き先を挙げた回答者のうち約26%(23人)を占めました。

観光地としても有名な岩手県の世界遺産「中尊寺金色堂」
観光地としても有名な岩手県の世界遺産「中尊寺金色堂」

 コロナ禍にも旅行に出かけていた人も、今年はよりアクティブになる傾向が見られました。5類移行前と比べて変わったことを尋ねると、最も多かったのは「より遠出をするようになった」が約4割(37人)。「より遠出する」層に人気なのも東北地方(9人)で、関西7人、県内を除く関東地方6人と続きます。一方、海外渡航はまだ慎重なようで、回答は2人にとどまりました。

 

 遠出をするようになった理由は、「コロナへの不安が軽減された」「行動制限がなく動きやすくなった」「人の動きに寛容になったと感じる」-など。5類移行に伴い、物理的にも心理的にも行動しやすくなったとする意見が大半を占めました。

 このほか、旅行に行く層の変化では「飲食やレジャーなど不特定多数が集まる場所を日程に加えた」が約3割(27人)、「宿泊日数が増えた」が約17%(15人)というのも目立ちました。理由はおおむね、遠出をするようになった理由と同じで、不安感が減り、行動のハードルが下がったことが影響しているとみられます。

 自由回答ではほかに「行けるときに動かないと、また世の中がどうなるか分からない」「今まで出かけるのを我慢したから!」との声も。やはり行動制限で抑えていた“旅行欲”に火が付いた人は少なくないようです。

 (設問「新型コロナの5類移行前と比べて変わったことは何か」の回答は、複数選択可としました)