【宇都宮】岩本自治会は23日、新里町の岩本観音の参道にカエルの石像「よみがえる」を設置した。約60段の急峻(きゅうしゅん)な石段の両側に計27基を並べた。地域の新たな魅力づくりに向け、進めてきた参道や周辺の再整備が完了した。
岩本観音は、大谷層の岩肌に馬頭観音菩薩(ぼさつ)立像と地蔵菩薩立像の2体の磨崖仏が彫られている。市によると、江戸時代の作とされ、下野三十三観音札所として信仰を集めた。2022年2月には「岩本観音と地域の伝統行事」として、市民遺産に認定された。
参道の石段や石垣は、経年劣化や11年の東日本大震災の影響などで補修が必要な状態だった。20年春に住民有志が岩本観音保存会を立ち上げ、再整備に乗り出した。
整備に当たり、参拝者が訪れる場所に戻ってほしいとの思いから、手を合わせたカエルの像「よみがえる」を考案し、寄贈による整備費用の協力を呼びかけた。地元住民に加え市内在住の賛同者からの寄贈の結果、参道の補修や木の伐採、駐車場整備が実現した。
この日は住民約20人が、大谷石でできた高さ約90センチ、重さ約100キロの像を1基ずつ運び上げ、慎重に据え付けた。同自治会の角山久(すみやまひさし)会長(70)は「多くの方の協力に感謝です。後世に引き継げるようしっかり守っていきたい」と話した。