小池百合子都知事

 諸外国と比べて女性の社会進出の遅れが指摘される日本。リーダーの代表格である女性首長のインタビューを通し、解決のヒントを探る。

 -防衛相就任や自民党総裁選出馬など数多くの女性初を経験しました。

 「防衛省や環境相などを務めましたが、縦割り行政の中で政策を前に進められないこともありました。総裁選に出たのは、総理になりたいというよりは、国の意思決定をもっと早めて、この国をスピード感を持って前に進めたいと思ったからです」

 -都知事を目指した理由は。

 「2013年に出した本にも書きましたが、日本を変えるには意思決定の場にもっと女性を増やすことが必要。しかし、国政では女性参画も少子化対策も全然進まない。そこで東京でいち早く、着実に進めたいと思いました」

 -女性であるがゆえのメリット、デメリットは。

 「よく質問を受けますが、特にないです。そういうことを気にしてはやっていられない。ただ、一生懸命仕事をすると嫉妬心からか阻んでくるのは男性ですね」

 -女性のリーダーを増やすにはどうするべきですか。

 「都庁では長年にわたり取り組みを進め、現在、管理職に占める女性の割合は約2割です。企業の場合は『いかに業績向上につなげられるか』でしょう。都は女性経営者を増やすために、女性起業家の育成プログラムを実施しています。これまで200人が受講し、時価総額100億円まで事業を拡大した方もいます」

 「政治分野では候補者にならないと当選しませんから、多くの女性が出馬することが唯一無二の方法です。今、都内23区で女性区長は6人、市町長は4人。少し前まで女性区長は1人でした。遅ればせながら(女性活躍が)進んでいます」

 -女性活躍に向け、都として力を入れている点は。

 「都の審議会は、男女いずれの性も4割以上とするクオータ制を導入しています。知事就任当初、女性委員の比率は約2割でしたが、昨年8月に目標の4割を超えました。また『育児休暇』だと遊んでいるようで取得しにくいので、育休の愛称を『育業』としました。本年度は複数の男性社員が育業した企業への助成を開始します。さらに、非正規から正規雇用へのキャリアチェンジを目指す女性へのeラーニングなど雇用面の支援も強化しています」

 ◆小池百合子さん(70) 1952年、兵庫県芦屋市生まれ。関西学院大社会学部中退、カイロ大文学部社会学科卒。テレビキャスターを経て、92年に参院議員。93年に衆院議員へ転じ、連続8期当選。環境相、防衛相、自民党総務会長を歴任した。2016年に女性初の都知事となり、現在2期目。