青い地球を未来につなぐ-。その思いで、再生可能エネルギー発電所の企画、建設、運営、メンテナンスに一体的に取り組む「自然電力」の共同代表として、電源開発分野を統括する。
同社は九州を本拠地として東京、関西にもオフィスを構える。ブラジルなど7カ国で発電所事業を展開し、現在までに同社が携わった発電所は、国内外150カ所を超える。
目指すのは、再生エネルギー100%の世界。「日本にとどまっているスケールではだめ。190カ国に再エネ事業を展開する」と、地球規模の展望を語る。
■自然を守りたい
美しい水と木々に恵まれた佐野市・出流原で幼少期を過ごした。6歳で東京都内に転居したが、川でザリガニを捕り、山で山菜を採った日々は、現在につながる「出発点」となった。
大学卒業後は総合コンサルティング企業に就職し、多忙な毎日を送った。休日は早起きして雪山や海に赴き、スノーボードやサーフィンでリフレッシュした。
自然に身を投じる時間を活力にする中、地球温暖化の問題を描いた映画「不都合な真実」で「地球に起きていることを知った」。愛する自然を守りたい一心で、特に環境と密接なエネルギー分野に携わろうと、風力発電会社に転職した。
最大の転機は、2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故。水素爆発する原発を目にし「今までのエネルギーの作り方は見直されるべきだ」と確信した。思いを共にしてきた同僚と3人で同年6月、自然電力を設立した。
■各国企業と連携
再エネ事業の先進企業であるドイツのjuwi(ユーイ)を視察した際、「明らかに違うステージ」に衝撃を受けた。同社と協力関係を結び、12年に熊本県合志市で初のメガソーラーを建設。本県でも那須烏山市・旧七合中校庭の太陽光パネル整備を手がけ、事業モデルを構築していった。
世界の再エネ企業とのパートナーシップ締結にも奔走しており「海外とのジョイントベンチャーが特長」と誇る。juwiと共同設立した、発電所建設を担う関連会社「juwi自然電力」をはじめ、国籍や年齢が多様な組織、各国企業との連携を強みにしている。
蓄電池の導入や、デジタル技術を使ったエネルギー制御といった挑戦を続ける一方、変わらないのは「出発点」への思い。「価値観のコアを作ってくれたのは栃木での経験だ。ぜひ栃木の脱炭素、電力づくりをサポートしたい」と語った。
経歴 佐野市出身。芝浦工業大システム工学部卒、同大大学院修士課程機械工学専攻修了。2004年に総合コンサルティングのアビームコンサルティング(東京都千代田区)に入社。風力発電事業会社を経て、11年6月、自然電力を設立。都内在住。
企業メモ 自然電力 再生可能エネルギー発電所事業。2011年6月設立。資本金51億2300万円。売上高は非公表。従業員331人。本社は福岡市中央区荒戸1の1の6、東京オフィスは東京都文京区本郷5の33の10。