「男性は強くて理性的」「女性は優しくて気が利く」-。こんな価値観にさらされた経験はないだろうか。ジェンダー(社会的な性差)への考え方やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)をひもとく読者アンケートの3回目は、感性・感情にスポットを当てる。男性の8割、女性の6割が「女性には女性らしい感性がある」と認識。男性中心の社会構造で「こうあってほしい」と求められてきた特性の刷り込みの強さがにじむ。

 設問は「女性には女性らしい感性がある」「女性は感情的になりやすい」の二つ。内閣府の「アンコンシャス・バイアスに関する調査研究」で「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した肯定派が男女ともに4~5割を占めた項目だ。根拠に乏しいものの、共感が広がっているのは確かだ。

 

 今回のアンケートでは、「女性には女性らしい感性がある」について男性の80・5%、女性の55・9%が肯定。いずれも年代が上がるごとに比率が上昇する傾向にあり、世代別では70代以上男性の88・6%が最高だった。

 理由として自由記述欄に複数見られたのが「母性」の2文字。「母性本能から来る優しさや思いやりがある」「子供を守るという母性本能がある」といった意見は女性に多かった。

 一方、「社会や親から求められた結果、女性らしい感情があるように見えるだけ」と、社会を維持するために期待された「役」に適応した結果と見る声もあった。

 「女性は感情的になりやすい」については、男女とも否定派が6割。回答者の性別を問わず「感情的になりやすい男性もいる」「性別でなく個人差」との意見が目立った。肯定派は「ホルモンバランス」を理由に挙げる人が多かった。

 

 従来の社会で構築され、多様性が叫ばれる現代では個性や能力を排除しかねない「男性らしさ」「女性らしさ」。このバイアスからの脱却がジェンダーギャップ(男女格差)を埋める第一歩かもしれない。

【アンケートの方法】4月8~16日の9日間、主にインターネットで実施し、計619人から回答を得た。設問は内閣府が昨年8月に全国の男女を対象に行ったインターネット調査「アンコンシャス・バイアスに関する調査研究」で肯定派が多かった設問を参考に設定した。

女性には女性らしい感性がある

肯定派のコメント
・潜在的に母性本能がある。(70代女性・宇都宮市)
・「女の子だから」と育てられたことによる価値観がある。(20代女性・宇都宮市)
・男にはない優しさや思いやりがある。(70代男性・栃木市)

【否定派のコメント】
・男性優位の社会が「そうであってほしい」という幻想を抱いており、現実とは異なる。(20代男性・宇都宮市)
・性差より個人差の方が大きい。(60代女性・宇都宮市)
 社会的要請が個人にインストールされている。環境や時代で変化すると思う。(40代女性・宇都宮市)

女性は感情的になりやすい

肯定派のコメント
・生理周期や更年期で冷静に考えることができないこともある。(40代女性・益子町)
・論理的に話すことができない女性が多い。(30代男性・佐野市)
【否定派のコメント】
・男性でも感情的な人はいる。個人差がある。(40代女性・那須町)
・男性優位の社会で女性が男性と同じように感情的な発言をするとバイアスがかかって見える(70代女性・真岡市)