環境省は28日、政府目標に先駆けて2030年度までの脱炭素化に取り組む「脱炭素先行地域」の第3弾として、日光市を含む13県の16件の提案を選定したと発表した。県内自治体では22年度の第2弾で選定された宇都宮、那須塩原市に続く3例目。奥日光地域を対象エリアに、温泉熱を活用した脱炭素化などの提案が評価された。

 先行地域には、国が最大50億円の交付金による財政支援を行う。

 市と東京電力パワーグリッド栃木総支社、東武鉄道の共同提案。観光シーズンの交通渋滞や災害時のインフラ遮断が課題となっている奥日光の中宮祠、湯元地区で、28年度までの間に渋滞緩和やエネルギーの自給自足を目指し、脱炭素化につなげる。

 具体的な取り組みでは太陽光発電や蓄電池のほか、温泉熱を活用するのが特色。温泉を給湯や暖房に使用し、さらに35度程度の排湯を駐車場の融雪機器に2次利用する。このほか、市は本年度内に「ゼロカーボン実現条例(仮称)」の制定を進め、鉄道やバスへの乗り換えなど奥日光エリアへのマイカー乗り入れ抑制を後押しする。

 選定を受けて粉川昭一(こなかわしょういち)市長は「地元住民や地元協議会と協調しながら、奥日光エリアのカーボンニュートラル実現に向け一丸となり、それぞれの知見や技術を最大限に活用しながら取り組みを推進していく」とコメントした。

 今回の選定で先行地域は32道府県の計62件となった。環境省は25年度までに100件以上に増やすとしている。