【とちぎ高校野球 読者が選ぶ名勝負】第7位 宇学8−7上宮 強打で制した死闘

<強打で制した死闘 ルーズベルトゲーム体現>

 【1988年センバツ大会】

 ▽準々決勝(甲子園球場)

宇学

 000 003 021 002│8

 000 140 010 001│7

上宮  

 (延長十二回)

 1937年、米国のフランクリン・ルーズベルト大統領は「野球は8−7で決着する試合が一番おもしろい」と手紙に書き記したという。いわゆる「ルーズベルトゲーム」だ。

 1988年センバツ大会準々決勝。名将・上野監督がチームを率い、主将の高嶋捕手、影山投手、真中中堅手(現ヤクルト監督)らタレントをそろえた宇学が、優勝候補・上宮(大阪)から大逆転劇を演じた。

 延長十二回。両チーム合わせて30安打、3時間25分に及ぶ攻防。終盤に宇学が5点差をひっくり返した死闘は、まさに「強打の宇学」を強く印象づけた。

 この大会、大阪勢は50年ぶりに3校が出場したが、2回戦までに北陽、近大付の2校が敗退。唯一残った上宮に地元の期待は集まり、甲子園は5万5千人の満員札止めとなった。

 三塁側のアルプススタンドで「上宮」の大きな人文字が揺れる中、主砲・元木(元巨人)の本塁打などで上宮は五回までに5点を先行した。しかし、「相手投手の球威が落ちてきていた。何とかなるだろう」。劣勢に立たされる中、上野監督が抱いた予感は的中した。

 宇学は八回に追いつくが、その裏、上宮に1点を勝ち越された。それでも九回、相手投手の暴投で高嶋が生還し同点。気迫あふれる主将のヘッドスライディングは、今も多くのファンの脳裏に残る。「小学生ながらに心を熱くした。今でも忘れられない」(宇都宮市、松本祐一さん、40歳)

 そして迎えた延長十二回。2点を挙げた宇学はその裏、無死満塁のピンチを1点でしのぎ、死闘に終止符を打った。この試合を甲子園で取材した本紙記者は「宇学の勢いが違った。負ける気がしなかった」と振り返る。

 準決勝で敗れた宇学だったが、甲子園に残したインパクトは大きかった。本県出身の人気漫才コンビU字工事の益子卓郎さん(36)も、「とにかく強かった! 宇学の勝ち上がっていく姿が頼もしかった」とコメント。

 ユニホームの「Ugaku」の文字がひときわ大きく見えたこの日。「ルーズベルトゲーム」を繰り広げたナインの姿は、いまも鮮明にファンの心に刻まれている。