【とちぎ高校野球 読者が選ぶ名勝負】第10位 宇商4−4国学栃木 震災の年 諦めぬ姿

<震災の年 諦めぬ姿 離し、追い付き15回延長>

【2011年夏県大会】

▽準決勝(県営球場)(延長十五回)

宇商

 000 100 000 201 000│4

 001 000 000 201 000│4

国学栃木  

 巨大地震が東日本を襲ったのはこの年の春だった。未曽有の震災に失意と不安が国中にあふれていた。

 津波が押し流した大地で、それでも被災者たちは立ち上がった。それを後押しするようにアスリートたちは口々にこう言った。

 「被災者を勇気づけたい」

 この試合も、そんな役目を果たすには十分だった。

 延長十回裏、表の攻撃で宇商が決定的な2点を勝ち越した。だが、国学栃木ナインの表情には笑顔さえあった。土俵際まで追い込まれたというのに、主将の青木は「雰囲気は良かった。負ける気がしなかった」という。

 甲子園まであと二つ。決勝進出を懸けて、球児たちがはせる思いを白球に込めた。

 「意地のぶつかり合いに感動した」(宇都宮市、君島剛さん、52歳)「試合の流れが行ったり来たり、ギリギリの攻防に手に汗握った」(宇都宮市、小浦博子さん、47歳)

 2点を追う国学栃木はその裏、牛久のソロ本塁打などで追いついた。延長十二回、宇商が再び勝ち越すが、またもや国学栃木が食らい付いた。

 「ここまできたら気持ちの勝負」。宇商・君島がこの日投じたのは199球。受ける捕手の吉田は「ここで夏は終われないという気持ちがボールにこもっていた」と振り返った。

 3時間半にわたる熱戦だった。「息子が出場した試合でした。永遠に忘れられない試合です」(宇都宮市、新ケ江幸世さん、52歳)。国学栃木・新ケ江も189球を投げ抜いた。

 延長十五回引き分け。大会史上3度目となった再試合は翌日行われ、宇商が5−1で決勝への切符を手にした。

 国学栃木ナインは泣き崩れた。その中で青木は2日間にわたる熱戦を振り返り、胸を張った。「こんないい試合は人生のうちでもそうはない。最高の試合だった」

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 高校野球が100年の歴史を刻んだ。下野新聞社が募集した「読者が選ぶ思い出の名勝負」には、多くの読者から応募があった。ポイント上位10試合を紹介する。