空き店舗を活用してオープンする子どもの居場所「タキヤ」の前で笑顔を見せる遠山さん(右)と工藤さん=10日午後、宇都宮市峰3丁目

 増加する空き家への対策が課題となる中、宇都宮大の学生が地元のまちづくり団体などと連携して空き家や空き店舗を地域の交流の場として活用するプロジェクトを進めている。宇都宮市峰町の同大峰キャンパス周辺で4月、小中学生らが勉強を教わったり遊んだりできる「子どもの居場所」を2カ所オープンさせる。同市は「空き家が地域の宝に生まれ変わる可能性を秘めている」と期待を寄せる。

 宇都宮市峰3丁目の住宅街にたたずむ空き店舗。酒屋だったこの場所で15日、子どもの居場所「タキヤ」がオープンする。名称は酒店から引き継いだ。

 運営するのは、宇大の建築学生団体、同市の官民連携組織「宇都宮空き家会議」などで構成する「タキヤプロジェクト」。代表の同大大学院2年遠山拓海(とおやまたくみ)さん(24)は新型コロナウイルス禍で地域や学校の行事見合わせが相次ぐ中、「地域の交流の拠点をつくりたい」と、先輩2人とプロジェクトを立ち上げた。

 地元の工務店や左官工の協力を得て内装を改修するなど、活動は地域住民に支えられている。遠山さんは「子どもの頃は、学校帰りに近所の人にアイスをもらうなどの交流があった。気軽に立ち寄れる場所にしたい」と意気込む。毎週水、土曜日、子どもはもちろん、高齢者ら地域住民にも利用を呼びかける。

 タキヤから西に約400メートルの同市峰1丁目では、もう一つの居場所「みねハウス」が30日のオープンを控える。学生団体と峰地区まちづくり推進協議会が運営する。

 開設は毎月第1、3、5日曜日。地域住民を通して借り受けた空き家の1階で、子どもの学習支援や地域住民向けのスマートフォン教室などを予定している。

 みねハウス代表の同大4年工藤光一郎(くどうこういちろう)さん(21)はタキヤの運営にも携わる。「元店舗と住宅というタイプの違う二つの居場所ができるので、多様な人に利用してもらいたい」と語った。

 同市生活安心課によると、市内の空き家は2020年度に5587戸。17年度の4831戸から756戸、15・6%増えた。同課の担当者は「管理不全空き家の解消とともに、利活用も一層進めたい」と話している。