わずか5畳ほどのシェアオフィスに1人で勤務する。創業メンバーのエンジニア2人は埼玉県と宇都宮市でフルリモートワーク。「社員満足なくして顧客満足はない。従業員の現状を常に理解し、働きやすい環境をつくる」と気配りを忘れない。
■AI活用も強み
事業の柱はITシステム開発とウェブ制作。顧客が望むサービスを企画開発し、納品後の保守運用まで一気通貫で支援する。最近はユーチューバーとクリエイターを結びつけるシステムを手がけた。
業界競争は激しいが「コンサル的な立ち位置から入り、何ができるかお客さま目線ですり合わせることに時間をかけている」と胸を張る。人工知能(AI)を活用した開発力も強みだ。
社名の「Cueplant(キュープラント)」は造語。合図(cue)、土壌(plant)を組み合わせ「私たちをきっかけに社会の幸せを作り出す」という思いを込めた。
学生時代の就職活動では「若いうちから裁量を持ちたい」とベンチャー企業を志望。不動産や人材など四つの会社で営業を経験した。「お客さまとの出会いから商品提供までをサポートすることに魅力を感じる」。顧客との関係性にこだわり、2021年に自ら会社を設立した。
■宇都宮に支店も
創業当初は資金繰りが苦しく「湯水のごとくお金が流れていった」と振り返る。銀行の融資を受けられ、早期に2件受注できたことで落ち着いた。
システム開発は単価が高い半面「要件定義が曖昧に進むと、納品段階でトラブルになるリスクもある」。今後は小口のウェブ制作を増やし「経営を安定させたい」と現実路線を歩む。
そして受託開発はあくまで通過点。目標は自社のサービス構築だ。「どの領域に何が刺さるか」と模索を続ける。
「開発に携わっていないのがジレンマ」と語るが、販路開拓を一手に引き受ける。東京商工会議所に入会し、社長のみが参加できる審査制マッチングアプリも利用。「山ほどある社長コミュニティーに片っ端から参加し、とにかく人に会う」と精力的に行動する。
年内には地元・宇都宮市に支店を開設するつもりだ。「地方はITになじみがない。私たちの強みでお手伝いがしたい」。地域貢献への思いも熱い。
経歴 宇都宮市出身。宇都宮女子高、早稲田大教育学部卒。東京都内の不動産会社、人材会社に勤務し、2016年に米国留学。帰国後、IT会社などを経て、21年にCueplantを設立した。都内在住。
企業メモ Cueplant 2021年8月設立。資本金100万円。売上高は非公表。従業員4人。東京都豊島区南池袋1の31の5。