交通費や宿泊費などの名目で議員に支給される「費用弁償」で、2021年度は栃木県内25市町議会のうち13市町議会で支給実績があったことが18日までに、下野新聞社が実施したアンケートで分かった。出張の交通費などで支払われていた。一方、県議会では本会議や委員会の出席時も日当に加え交通費が支払われており、1395万円が支給された。費用弁償を巡っては「報酬の二重取り」などとして全国的に見直しが進められており、公費支出の在り方が問われている。
費用弁償は地方自治法に基づき、日当や交通費、宿泊費などの支給額や支給方法を各議会が条例で定めている。
県内では、15市町が議員が遠隔地に出張した場合に日当を支給している。出張でマイカーを使った場合、距離に応じて交通費を支給しているのは19市町だった。大田原市と壬生町は費用弁償の制度がない。
市町議会のうち、21年度に支給額が最も高かったのは那須町で47万9790円。県内では唯一、本会議や委員会の出席時にも自宅から町役場への距離に応じて交通費を支給していることが理由。続いて宇都宮市が5万4720円、真岡市が3万8050円などだった。
支給額がゼロだったのは栃木、佐野、矢板、那須塩原、さくら、益子、茂木、市貝、野木、高根沢の10市町。新型コロナウイルスの影響で議員の県外活動が停滞したことなどが影響した。
足利市では議員から「議員定数が減り、1人当たりの負担が増えた」との提案があり、本会議などに出席した場合にも日当を支給することを議員間で検討したが、「社会経済情勢を踏まえると公費負担の増額は困難」との理由で現状維持を決めた。
その他の24市町では過去10年間、費用弁償の規定の見直しや、見直しに向けた議論は行われなかった。
県議会でも12年以降、議論はされていない。ただ、費用弁償は、地方議員が無報酬だった時代に始まった制度でもあり、全国では有権者からの批判を受けて見直す動きがある。