下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)などが実施したアンケートで、原発活用を容認する回答が半数を超えた。「今の光熱費が高過ぎる」など、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー価格の高騰を不安視する声が目立つ。一方で、地震や有事の際にリスクが高まる原発への懸念は根強く、生活不安と政策への不信がにじむ結果となった。
原発政策についての質問では、①「増設や建て替えなど積極的に原発を推進してよい」と②「運転延長を含め、原子力規制委員会の審査を通過した既存の発電所は維持してよい」が合わせて31.2%。③「運転延長は控え、基数を減らしながら活用すべきだ」も含めると「活用容認」が56.6%に上った。
②を選択した人からは、切実な生活不安の声が聞かれた。佐野市、会社員男性(48)は「電気代が高いから」。宇都宮市、パート女性(45)も、地震災害に対する懸念を示しつつ「電力不足を考えるとやむを得ない」とした。
小山市、会社員男性(51)は③を選び「他の電力源で間に合わないうちは原子力も必要」とした。同じく③の宇都宮市、会社員男性(27)は「技術革新とともに自然エネルギーの活用を模索し、長期スパンで脱原発ができればいい」と緩やかな移行を求めた。
④「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」を選んだ市貝町、主婦(51)は「電力不足、脱炭素を理由に原発を進める流れはリスクを考えると安易過ぎる」と訴えた。同じく④の佐野市、会社役員男性(80)は「戦争で攻撃の対象にされる」と指摘した。
栃木県から回答があった104件で見ると、①と②が合わせて25.0%。③を含めた「活用容認」は58.7%に上り、全国平均に近い傾向となった。