カイロは、寒い日に必須なアイテムの一つだ。県内にはカイロ国内シェア3位を誇る「エステーマイコール」(栃木市千塚町)がある。製造しているのは使い捨てカイロ「オンパックス」など。早速、訪ねてみた。

取材した日は、ちょうど県内各地で降雪を記録した「カイロ」日和。寒さに身を縮めていると、山口匡士(やまぐちまさし)社長(58)が温かい笑顔で出迎えてくれた。
前身となる「マイコール」は1904年(明治37年)、上都賀郡清洲村久野(現在の鹿沼市入粟野)でカイロ灰の主原料となる「麻殻灰」の製造業を開始した。88年には、業界初の衣類に貼るカイロを発売した。2003年、マイコールは日用品メーカー「エステー」と国内販売に関する業務提携を締結。18年にエステーがマイコールのカイロ事業を譲り受け、「エステーマイコール」を設立した。

工場内では、鉄や活性炭などの原料約1トンを1回で均一に混ぜることができる設備を使い、適切な配合で混ぜ合わせていた。世界で唯一の設備という。カイロは原料の鉄粉が酸素と反応することで温かくなるため、配合によって温かさが持続する時間や、カイロの温度に変化を持たせている。
混ぜ合わせた原料は、不織布に充塡(じゅうてん)する。酸素に触れると発熱が始まってしまうため、1分もかからない内に包装するのだという。

山口社長は「カイロは肌に近いところで使うので、低温やけどが1番怖い。うちの工場では、マイコール時代から長く蓄積してきたノウハウを活用し、安定した品質を届けることができています」と胸を張る。

カイロへの愛が止まらない山口社長や広報担当者たち。商品説明をしてくれている途中、ポケットや足元から次から次へとカイロが出てきた。形や均一な薄さ、中の原料が出にくい構造にも自信をのぞかせる。

この工場で製造しているカイロは約30種類。近年では、若年層向けに「温活」をイメージした商品も展開している。

山口社長におすすめを聞くと「どれもおすすめだが、強いて言うなら、『はるオンパックスAiry(エアリー)』。軽くて薄いので、貼っている感じがせず、上着を脱いでも目立たないし、ファッションの邪魔をしない。冷え性の人や、春先のお花見の時にも、使いやすいと思います」と紹介してくれた。

働く人たちのこだわりと技術と愛が詰まったカイロは、きょうも全国の人を温めている。
~山口社長によるカイロQ&A~

-長持ちさせるにはどうすればいい?
-体を温めるこつは?
-カイロの正しい捨て方は?
-温かいまま捨てても問題ありませんか?