渓流釣りや山菜採りといった里山でのレジャー中は、「くくりわな」に注意を-。栃木県内の山林では、イノシシやシカなどの有害鳥獣を駆除する目的で年間を通じてわなが仕掛けられている地域は多い。県や林業関係者は、山に入る際には、わなに掛かってしまうなどの事故に注意するよう呼びかけている。
県自然環境課によると、くくりわなは、動物の足などが踏み台に乗ると沈み込み、バネの力でワイヤが締まって捕獲する仕掛け。イノシシやシカなどが生息する雑木林や獣道に設置するほか、見回りがしやすいよう見通しの良い場所に餌でおびき寄せる方法もある。動物に見つからないよう土の中や葉などで隠すように埋めているため、近くには注意を促す看板が設けられている。
狩猟期間は毎年11月15日〜翌年2月15日と定められている。だが近年は、動物による農林業被害が相次いでいるため、年間を通じてわなを仕掛けている地域があるという。
佐野市秋山町で林業を営む遠藤厚寛さん(72)の私有林では、シカに苗木を食べられたり、クマに樹木の表皮がはがされたりする被害が続いたという。そこで、わなを石で囲って餌で誘い込む「小林式誘引捕獲」を実践。獣道以外にも設置できるため見回りしやすい上、目的外のタヌキやカモシカなどがかかるケースを減らせるといい、本年度は150頭以上のシカを捕獲した。
一方で、立ち入り禁止の看板を設置していても、釣り客がわなを作動させてしまうケースがあったという。わなに動物が掛かっていた場合、襲いかかってきて事故につながる危険もあるという。遠藤さんは「森林や林業を守るためには獣害を減らすことが必要と理解し、わなが設置された場所には近づかないでほしい」と話している。