日本人初の男子100メートルバタフライでのメダル獲得に期待がかかる水沼=6日のジャパンオープン、千葉市内

 スーパーヒーローに憧れていた。「ウルトラマン」が幼稚園のときの将来の夢だ。「小さい頃に五輪に出たいという夢はなかった」

 それから約20年。東京五輪代表選考会前、高校まで通った真岡市のフィールドビックSSを訪れた。「代表になるからね」。選考会では男子100メートルバタフライで見事に優勝し、子供たちとの約束をきっちり果たした。

 水泳を本格的に始めたのは小学1年時。4年頃には自由形で全国大会の標準記録を突破した。ただ6年時には全国大会に出場できず、中学1年で再び標準記録を上回ったのは背泳ぎだった。

 バタフライを専門にするようになったのは高校2年の秋。56秒台で泳ぎ、当時指導した大畑豊(おおはたゆたか)コーチは「これならやっていける」と手応えがあった。

 持ち前の手の長さと筋肉の柔らかさで、無駄なく水をとらえる動きが合った。背泳ぎで培った得意のバサロキックも、ドルフィンキックに生きた。春先に55秒台、夏には54秒台と記録はぐんぐん伸びる。大畑コーチも「高校男子でここまで伸びる子は珍しい」と急速な成長に目を見張った。

 高校3年の全国高校総体では0.07秒差で決勝進出を逃したが、新潟医療福祉大に進み下山好充(しもやまよしみつ)監督(栃木市出身)の下で実力は全国上位に。2年時に五輪を目指すようになってからは、「どうしたら速くなるか」に真剣に向き合ってきた。

 五輪では51秒00の日本記録更新と、メダルを視野に入れる。真岡市初のオリンピアンは「小さい子に少しでも水泳の楽しさ、スポーツの素晴らしさを伝えられたら。子供に夢を与えたい」。思い描いていたヒーローになる日は近い。

 【プロフィル】みずぬま・なおき 1996年生まれ。真岡市出身。山前中-作新学院高-新潟医療福祉大。2019年世界選手権代表。4月の日本選手権男子100メートルバタフライで優勝し、初の五輪代表内定。新潟医療福祉大職員。181センチ、80キロ。24歳。