【足利】早川尚秀(はやかわなおひで)市長は21日の定例記者会見で、市職員がインターネットを通じ24時間体制でクマの目撃情報に対応する情報網を整備するなど、被害防止対策を強化する方針を明らかにした。ドローンによる上空からの調査も継続する。本年度は目撃情報が20日時点で29件と、既に昨年度の15件の約2倍に上り過去最多となっていることに対応した。

 市内はクマによる人的被害は発生していないが10月以降目撃情報が相次いでおり、10月は13件、11月は20日までで6件となっている。これまでの最多は2019年度の25件だった。

 この状況を受け市は市民生活課や中央消防署など、クマ出没時の調査や関係各所への周知などを担う計11課の職員による「クマ出没・目撃情報連絡チャット」を設け、今月中の本格運用を予定している。平日の日中だけでなく、夜間や休日に目撃情報が入った際、正確な情報を迅速に市民に届ける。

 また10月下旬に渡良瀬川河川敷や中州で複数の目撃情報が寄せられた際は、市消防が所有する赤外線カメラや温度検知機能を搭載したドローンで調査を実施した。クマは発見されなかったが、今後もドローンによる調査を継続する。

 市教委も市内小中学校に対し、児童生徒の登下校時や校外活動時の安全確保指導の徹底、校舎の門扉や昇降口の施錠の徹底などを呼びかけた。「外出時は複数人で行動する」「音の鳴るものを携帯する」など、児童生徒が自らの身を守るための方法について、連絡アプリを通じて保護者にも周知した。

 早川市長は「クマの目撃情報を市民に迅速に提供し、引き続き被害の防止に努めていく」と強調した。