大会はろう者の社会的地位向上を目指して始まった。1924年の第1回パリ大会の出場選手数は148人。日本初開催の今回は80超の国・地域から史上最多3081人がエントリーした。会場の熱気は100周年を迎えた大会が積み上げてきた財産だ。

 2024年パリ五輪・パラリンピックの代表と同じ赤を基調としたユニホームに身を包んだ日本選手団は大トリ。選手たちは飛び跳ね、踊り、夢舞台が到来した喜びを表現した。

客席から手話の拍手で迎えられる日本選手団=15日午後、東京体育館
客席から手話の拍手で迎えられる日本選手団=15日午後、東京体育館

 その中には宇都宮市出身でボウリングの村野美幸(むらのみゆき)選手(60)の姿も。式典の司会進行は同市在住の大会応援アンバサダー川俣郁美(かわまたいくみ)さん(36)が務めた。この先も大会を彩る本県関係者らの姿に胸が高鳴った。

 フィナーレを飾る「100年の1日」と題した芸術プログラムには、小山市出身でろう者の俳優大橋弘枝(おおはしひろえ)さん(54)が出演した。自身も演出を手がけた演目は静かに始まり、ろう者が不遇だった時代から、ろう文化と大会が発展していく流れを身体表現と手話を駆使して表現。最後はろう者と聴者の混ざった150人超のパフォーマーが共生社会を生き生きと描き出した。

開会式の演出を務め特別プログラムに出演した大橋弘枝さん(手前)=15日午後、東京体育館
開会式の演出を務め特別プログラムに出演した大橋弘枝さん(手前)=15日午後、東京体育館

 大橋さんは開幕前、デフリンピックを「コミュニケーションの祭典」と表現していた。熱戦は26日までの12日間。アスリートの躍動が「聞こえない世界」と「聞こえる世界」をつないでいく。誰しもの個性が尊重される社会への大きな一歩となるはずだ。

サッカー女子・増田にエール 所属クラブ同期の山崎さん(足利)

 東京デフリンピックが開幕した15日、福島県のJヴィレッジで初戦を迎えたサッカー女子。先発したDF増田香音(ますだかのん)(22)=足利市、県聴覚障害者協会=の晴れ舞台を、所属クラブ同期の佐野市高萩町、保育士山崎栄美(やまざきえみ)さん(22)がスタンドで見つめた。

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