【足利】アメリカ統治下時代の沖縄の実情を知ってもらおうと、公開中の映画「宝島」のプロデューサーと俳優の2人が27日、足利大付属高で講演した。来年3月に修学旅行で沖縄を訪れる2年生が参加し、戦後の沖縄が歩んだ苦難の歴史や平和の大切さを学んだ。映画の撮影は市内でも行われ、主演の妻夫木聡(つまぶきさとし)さんも来市している。
講演をしたのは、「おばあ」役を務めた沖縄出身の俳優きゃんひとみさん(65)と、プロデューサーの五十嵐真志(いがらしまさし)さん(51)。市と包括連携協定を結ぶ「フィリップ証券」(東京都)が作品に関わっており、学校との橋渡し役を務めた。
本作は1945~72年の米統治下時代、米軍基地から奪った物資を住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれた人たちを描く物語。「沖縄平和学習プログラム」と題された講演では、映画のシーンを見ながら沖縄の人々が経験した理不尽な出来事を振り返った。
60年に生まれ、小学生までを統治下で過ごしたきゃんさん。親戚に戦果アギヤーがいたことにも触れ、「自分の命を懸けて、貧しい人に物資を分け与えたヒーローだった」と明かした。
五十嵐さんは原作を読んだ際、「本土の僕たちは沖縄を何も知らないと、頭を殴られるような衝撃を感じた」という。「映画を見て、もしこの時代に自分が生きたらどう思うか、想像してほしい」と呼びかけた。
本作は福居町のトチセン(旧足利織物)赤レンガ捺染(なっせん)工場で、刑事役の妻夫木さんが事件を捜査するシーンが撮影されている。
終了後、同校の金子満里愛(かねこまりあ)さん(16)は「講演を聴いて、沖縄の人の怒りを知った。映画を見たい」と真剣な表情で語っていた。

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