栃木県内各地でクマの出没が頻発する中、これまでクマがいないと思われてきた地域での目撃情報が相次いでいる。8月下旬には栃木や大田原、さくら市の郊外で情報が寄せられた。いずれも近くには小学校がある。「本当にクマなのか」「見間違いであってほしい」。6月には那須塩原市埼玉の市街地で男性(73)=当時=がクマに襲われて重傷を負う被害が発生しており、地元住民は戦々恐々としている。

 旧喜連川町の中心部にほど近いさくら市早乙女。地区を流れる荒川の対岸には、多くの利用者でにぎわう「市営もとゆ温泉」がある。この場所で8月26日午前3時ごろ、通行人がクマ1頭を目撃した。さくら署によると、クマは体長約1メートルで用水路の土手沿いにいたという。現場は喜連川小学校の南東約1キロで、民家が点在している。

クマが目撃された現場近く。住宅が点在している=1日午後、さくら市早乙女
クマが目撃された現場近く。住宅が点在している=1日午後、さくら市早乙女

 「矢板や塩谷にはいると思うけど、この辺りでは見たことがない」。近所に住む60代男性は驚く。近くの養殖場に勤務する別の60代男性も「何十年もここに勤めているが、クマが出るとは聞いたことがない」と口をそろえた。