完成したストーリー集を手にする森田さん

 【日光】地元観光業者らでつくる「奥まで日光」地域事務局はこのほど、日光国立公園の日光エリアの魅力をまとめた「奥まで日光を好きになるストーリー集」を作成した。自然、歴史、文化が紡ぐ物語を深掘りして網羅しており、観光案内の手引や子どもたちの郷土学習の教材として利用してもらう。事務局代表の森田孝道(もりたたかみち)さん(53)は「随時アップデートしながらより良いものにしていきたい」と話している。

 環境省が進める「国立公園満喫プロジェクト」の一環。ストーリー集は62ページからなり、「人の歴史」「地形と自然」「季節と風景」の3章構成。奥日光の豊かな自然や二社一寺を代表とする歴史建造物など、その由来や地域に根付いた背景などを紹介している。

 市は国際的観光地として国内外から多くの観光客を受け入れているが、ガイドブックは観光スポット単位のものがほとんど。森田さんは「広い視点で、横断的に解説するものはあまりなかった」と指摘する。観光案内に携わる業者間でも共通理解がなく、「魅力発信が十分でない」という課題も抱えていた。

 ストーリー集では自然環境が支えるアクティビティとして、戦場ケ原ハイキングや中禅寺での水上スポーツなども写真とともに紹介。昨年7月から計4回のワークショップを開き、延べ約200人の意見を反映させた。

 事務局は「忘れられない唯一無二の感動や体験を提供することが、より選ばれる地域となり、長く滞在していただくために重要」としている。

 ストーリー集は日光自然博物館のホームページなどからダウンロード可能。今後は利用者の意見も取り入れながら、随時内容を更新していく考えだ。