菊池(きくち)たちとの話題はもちろん、バスケットチームを承継した際に生じる問題点について。
少々酔っているが、頭はまだしっかりしている。奨吾(しょうご)はノートを用意して、それをテーブルの上に広げた。ボールペンで課題を書き出していく。
①選手及びコーチの確保について。
これが最大の課題だろう。チームには選手が不可欠であった。最低でも十名、登録しなければリーグ戦には参加できないらしい。十名の選手をどう確保すればいいのか。皆目見当がつかなかった。仮にもB3リーグを目指すのだから、それなりに高いスキルが必要だ。小学校のときにバスケやっていました程度では話にならないのだ。
コーチも同様だ。B級ライセンスを保有するヘッドコーチを有することがB3リーグ参加の条件になっている。B級ライセンスを持つコーチなど、堅魚(かつお)市にいるだろうか。
②スポンサーについて。
これもかなりの難題だ。チームの運営には金がかかる。数千万円、場合によっては億単位の金が必要になってくる。クロシオンズに関してはコネクトエネルギーというメインスポンサーがいたため、B3リーグ入りが現実味を帯びていた。そういう金づるを見つけることが必要不可欠だった。当然のことだが、公金を投入することなど絶対にできない。
③クラブ運営会社について。
調べてみたところによると、現在Bリーグのほとんどのチームがクラブ運営会社によって運営されている。高知クロシオンズも『株式会社高知クロシオンズ』という法人が登記されていて、菊池がその代表を務めていた。ただし、クロシオンズの実際の運営に関しては菊池は完全にお飾り状態で、その大部分をメインスポンサーであるコネクトエネルギーの広報担当者に依存していたらしい。