JA全農とちぎは、定期的に都内大手企業の社員食堂へ県産農産物を食材として無償提供している。本県産を味わい食べてもらい、その魅力を伝えるのが狙い。県も協力しており、可能ならより多くの社員食堂へ食材を提供し、都心で県産農産物のファンを開拓していってほしい。
JA全農とちぎは2023年1月、NEC本社(東京都港区)などの社員食堂で食材提供を始めた。JA全農とちぎ園芸部東京青果事務所が拠点を置く大田市場(東京都大田区)の卸売業者から紹介されたのがきっかけだ。
同4月から本格的に取り組み、「栃木産農産物メニューフェア」として本社のほか、都内などの事業所の社員食堂で実施する。本年度は年4回計画する。千人単位が利用し、100食単位で販売される。食材はトマトやナス、ネギ、アスパラガスのほか、特産のイチゴやナシ、ブドウ。メニュー考案はNECの福利厚生を手がける子会社が担う。
同社は本県以外にも青森や静岡、和歌山、福岡、熊本県などとも連携し、地方の食材をメニューに取り入れる。「国産のおいしい青果物を食べていただける」「野菜たっぷりの健康的な食事の提供」「食材の知識が増える」といったメリットを感じている。
都内では他にも大手商社の社員食堂で、秋田県産食材を使ったメニューが提供されている。JA全農とちぎは提供先を開拓し、本県産を売り込んでいくべきだろう。
食堂で県産食材を食べた社員が自宅近くのスーパーなどで買い物をする際、「栃木県産農産物」を手に取り、購入する動機づけにしたい。
県側の協力も欠かせない。NEC本社食堂には売店があり、県産加工品を取り扱えないだろうか。全農側は提案しているが、実現には至っていない。県は包括連携協定を結んでいる損保ジャパン本社(東京都新宿区)で今年6月、出張アンテナショップを開いた実績を持つ。さらなる後方支援に努めてほしい。
一方、県は東京都や神奈川県で定期的に物産展を開いている。県産メニューフェアを実施する際、社員食堂で物産展を告知するなど連携したPR策も構築していくべきではないか。NEC本社食堂では本県の観光PR動画を流したこともあり、本県の魅力を伝える場として都内社員食堂を積極的に活用していきたい。