「政治とカネ」と「自治」をテーマにした分科会では、地方で継続的に取材、報道する記者らが報告した。メディアが公権力監視の担い手として、知る権利に応える責務を果たしていくため何が必要かを考えた。

「政治とカネ」と「自治」をテーマにした分科会報告に聞き入る参加者たち
「政治とカネ」と「自治」をテーマにした分科会報告に聞き入る参加者たち

 京都新聞社の峰政博(みねまさひろ)氏は政治とカネの問題を、地方紙として継続的に報じる必要性を説いた。自民党の滋賀県議による寄付金などの政治資金収支報告書への不記載が相次いで発覚したことなど、数多くの報道を紹介した。

 2021年には各都道府県における同報告書のインターネットでの公表状況について報じた。当時、40都府県が全政治団体の原本を公表する一方、滋賀など1道6県が非公表や一部公表にとどまっていた状況を明らかにし、透明性確保への疑問を呈した。「何かを『した』だけではなく、『不作為』も立派なニュースになる」と強調した。

 

 峰氏は「捜査機関が動かないなどとして目をつぶってきた報道機関にも責任があったのでは」と振り返りつつ、「『見ているぞ』が政治家に緊張感を与える。地道に報道を続けることで制度の改善につながる可能性もある」と呼びかけた。

 19年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、安倍政権幹部の裏金提供疑惑をスクープした中国新聞社の荒木紀貴(あらきのりたか)氏は関係者取材の徹底など基本的な取材を尽くす大切さを語り、「一番大切なのは現場の熱量。編集幹部がその背中を押してほしい」と述べた。

■座長
 今野洋史氏(新潟日報社東京支社次長兼報道部長)
 久江雅彦氏(共同通信社特別編集委員)
■報告者
 峰政博氏(京都新聞社滋賀本社編集局コンテンツ編集部次長)
 横山勲氏(河北新報社編集局編集部記者)
 荒木紀貴氏(中国新聞社編集局編集委員室長)
■ゲスト
 山本豊彦氏(「赤旗」日曜版編集長)