まちなかに「KMGW BOOKS(カマガワブックス)」が誕生したのをご存じですか。お客さんは本を買うだけでなく、本を持ち寄って小さな本屋を開けるブックカフェです。

ここで、元まちなか支局員の記者も販売しているとか! 元まちなか支局員の記者に本屋体験をリポートしてもらいます。
おはようございます、ミワリー…ではなく、ムトーです。
4月にオープンしたカマガワブックスは、半年または1年間、個人が有料で本棚を借りる仕組み。書籍をはじめ、好きなテーマやデザインで発行する小冊子「ZINE(ジン)」などを持ち寄り、価格を設定して販売できる。本棚は36人分。県内では珍しい取り組みで、本屋好きとして挑戦してみた。

さっそく並べる本を選ぼう。自宅の本棚からまず手に取ったのは、雑誌「暮しの手帖」の創刊者・大橋鎮子(おおはししずこ)さんのコラム集「すてきなあなたに」。NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモデルになった大橋さんの懐かしく温かみのある文章に何度も救われた。
そのほか森見登美彦(もりみとみひこ)さんの小説や群(むれ)ようこさんのエッセーなど、「読んでいると落ち着く」本を集め“開店”した。
他の参加者の棚をのぞくと、建築関係の書籍を集めた棚、包装紙に包まれて中身が読めない棚、釜川がテーマの短編をまとめたZINEを置く棚-。本棚一つとっても個性的だ。私のお店、ちょっと地味?

かわいい装飾が目を引くのは、「ppp(スリーピー)」の愛称でこま撮りアニメを制作する吉川(よしかわ)さゆりさん(35)の棚。都内の喫茶店で働いている頃に手掛けたZINE「NON Suger」は、喫茶店やコーヒーをテーマにした短編やイラスト、写真が載っている。
「カマガワブックスは、本をきっかけにさまざまな体験ができる場所」と吉川さん。今後は本との出合いをテーマに、多様なZINEを集めたいという。
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本屋オーナーとなって5カ月。30冊程度を並べ、半分の本を売ることができた。お気に入りに共感してくれる人がいたようで、なんだかうれしい。来年1月まで出店しているので、品ぞろえにひと工夫を加えたい。
同店を開設した「カマクリ協議会」の中村周(なかむらしゅう)さん(37)によると、本のイベントを開催したり店先に本が置かれていたりと、釜川は本の文化が根付いているという。「出店によって釜川に遊びに来る人や、SNSでお店や釜川について発信する人も増えましたね」と手応えを感じている。

現在、本棚は埋まっており、空きが出たら10月末ごろ参加者を募集する予定だ。高田直樹(たかだなおき)店長(49)が「軽食の提供や古本の買い取りも始まるので、ぜひ普段使いしてほしい」と話すように、憩いの場として長く愛されてほしい。
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せっかくなので、まちなか支局の2人から本を預かってきた。ミワリーのお薦めは「今、ふたたびの京都」。東山魁夷(ひがしやまかいい)の絵と川端康成(かわばたやすなり)の文で京都を紹介しており、行楽のお供にぴったりだ。一方、男性記者が選んだのは「飛び猫」という写真集。ネコ好きだったなんて意外…。
読書の秋に向けて、皆さんもお気に入りの1冊を見つけてみてください。
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