盆休み中、都内に住む友人から「スーパーでコメが売り切れている」というメッセージが届いた。無料通信アプリのトーク画面に、青ざめた顔の絵文字が付いている▼気になって宇都宮市内のスーパーへ向かった。5キロ、10キロ入り袋のコメが棚いっぱいに積まれていたが、1家族2袋までと制限されていた。県南の道の駅では、農協から仕入れた分はなくなったという▼主食用米の民間在庫量が6月末時点で過去最少となった。それでも「コメ不足」ではない。本県産は1袋30キロに換算して242万3千袋分の在庫がある。農林水産省は「十分に確保されている」という。ならばこの品薄状態は、どういう訳か▼昨年の高温の影響でコメの品質が落ち流通量が減った一方、パンや麺類と比べ値頃なことや、災害に備えて買い求める人が増えたとの見方があるが、判然としない▼生活困窮者に食品を配布する県内各地のフードバンクからも悲鳴が上がる。普段なら十分あるコメが底をついていると。寄付する余裕が家庭や農家にないのだろう▼米価も上昇している。ただ「今までが安過ぎた」という声もある。販売価格より生産コストが上回る農家は少なくない。県内では月内にも稲の収穫が始まる。品薄が解消され、新米を食べれば、友人の青ざめた顔の絵文字も笑顔に変わるに違いない。