第106回全国高校野球選手権栃木大会最終日は28日、石橋の初優勝で幕を閉じた。序盤の5点ビハインドをはね返す逆転劇で同校創立100年目の節目に新たな歴史をつくったナイン。球場で観戦した野球部OBや中学時代のチームメートは歓喜に沸き、快挙を祝った。
決勝戦が行われた宇都宮市のエイジェックスタジアム(県営本球場)の一塁側スタンドには同校野球部控え部員やOB、保護者ら約350人が詰めかけ、猛暑にも負けない熱い声援を送り続けた。
「石橋ビッグウェーブ」。六回は1点差に迫り、なおも1死満塁の場面。入江祥太(いりえしょうた)の一打が相手のミスを誘って逆転すると、肩を組んで揺れながら大合唱。応援団長の同校野球部2年竹熊章太朗(たけくましょうたろう)さん(16)は「諦めずに戦うのが石橋。最高です」と、かすれた声で仲間の健闘をたたえた。
そのまま1点リードを守り切った。聖地の土を踏むのは21世紀枠で初出場した昨春の選抜大会以来。野球部OBらでつくる後援会「石甲会」の川中子智一(かわなごともかず)会長(67)は「選抜が終わった後、周りには『もう甲子園はない』と言われていた。子供たちが粘り強く、夢をかなえた」。優勝旗を受け取る選手を見届け、目元に涙を浮かべた。
投打に活躍した入江は中学時代、硬式野球クラブの県央宇都宮ボーイズでプレー。共に3年間を過ごし全国優勝も経験した慶応高野球部の加藤右悟(かとうゆうご)(18)と同小宅雅己(おやけまさき)(18)もスタンドに駆け付け、「テンポ良く楽しそうに、いい顔で投げているのが入江らしい」と声をそろえた。
試合前日はLINE(ライン)で激励したという。神奈川県予選では敗退し、2年連続の全国制覇の夢が断たれた2人。加藤は「僕たちの分も頑張ってほしい」と旧友に思いを託した。