詳細調査候補地内で選定からの10年を振り返る塩谷町職員の星さん(右)ら=25日午後、塩谷町上寺島

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物問題で、環境省が塩谷町上寺島の国有林を処分場(長期管理施設)の詳細調査候補地に選定した2014年7月。当時は町を挙げての反対運動が展開され、街じゅうに「断固反対」「白紙撤回」と記された看板やのぼり旗が立ち並んだ。選定から30日で10年がたつ。現在、町内にそうした景色はなく、過熱した反対運動は落ち着きを見せている。ただ、町や町民たちが白紙撤回を求める姿勢は揺らいでいない。

 同町玉生の町役場新庁舎から北へ約15キロ。山道や未舗装の林道を進んだ先に、杉林が広がる。約3ヘクタールの処分場詳細調査の候補地だ。一部は平たんに近い土地で雑木林そのもの。候補地だと示す説明や囲いなどはない。