新規採用教員に講話する高瀬晶子さん=11日午前、県総合教育センター

 2017年3月の那須雪崩事故で亡くなった大田原高山岳部高瀬淳生(たかせあつき)さん=当時(16)=の母晶子(あきこ)さん(57)が11日、栃木県総合教育センターで新規採用教員約100人を前に講話し、「被害者にも加害者にもなってほしくない」と安全管理の徹底を呼びかけた。

 県教委による初任者研修の一環。晶子さんは、事故発生から5月の刑事裁判一審判決までを、当時の心情を交えながら語った。雪崩の予見可能性を認定し「不注意による人災」などと指摘した一審判決に触れ、「教諭なら『事故が起こるはずはない』と思い込んではいけない」と訴えた。

 事故の7年前、登山講習会で発生した雪崩が報告されていなかったことについて「若い先生が公表すべきだと主張したが、(最後は)黙ってしまった。真実に目をつむってよかったのか」と問いかけた。

 参加した佐野東高の村田朋華(むらたともか)教諭(23)は「命を預かる仕事だということを改めて意識したい。情報収集を怠らず生徒の安全を確保していきたい」と話した。