厳選した旬の食材や美しい器から細部までのこだわりを感じる。
ランチ御膳の1番人気は「にしき定食」(2200円)。脂の乗った本マグロの刺し身、風味と食感のよい挽(ひ)きぐるみのそばと箸が止まらない。名物の鶏胸の唐揚げは、二十数種類の調味料を半年間寝かせたたれをかけるとまた絶品だ。
店主の高田能史(たかだよしふみ)さん(48)は東京都内の割烹(かっぽう)や、唐揚げでも有名な栃木市尻内町のそば店「鳥おか」で経験を積んだ。独立したのは2013年。女将(おかみ)の妻絵美(えみ)さん(50)から「割烹で学んだ全ての技術を出し切って」と背中を押され、日本料理店に挑戦した。
魚は能史さんがほぼ毎日市場に通って、味と価格のバランスを見極めている。鹿沼市下永野産のそば粉や、絵美さんの地元である西方地域のコシヒカリと近隣の食材も大切にする。
1日限定8食の「桐乃家(きりのいえ)御膳」(3300円)は「食べてほしいものを凝縮した小会席」。看板は夜の会席料理で、冬季はトラフグやアンコウのコースも人気だ。品のいい雰囲気の店内だが、絵美さんの明るい接客が肩肘を張らせない。
「おいしいと思うものをお客さんに食べてもらい、おいしいと言ってくれれば幸せ」と能史さん。そんなシンプルな思いが最大のこだわりだ。
▼メモ 栃木市大町17の22。午前11時半~午後1時半(ラストオーダー)、午後5時半~8時(同)、月曜定休(金曜はコース予約のみ)。(問)0282・51・2114。