那須塩原市の養豚場で発生した豚熱(CSF)で、農林水産省は18日、疫学調査結果概要を発表した。衛生管理区域の一部で豚舎のドアや防鳥ネットが破損し、タヌキやハクビシンなどが養豚場内で確認されていた。4月末から死亡する豚が増え始めていたが、別の感染症を疑い県に通報したのは約3週間後となった。

 養豚場では5月26日に感染が判明し、計1万5736頭が殺処分された。調査によると、4月末に肥育舎の豚の死亡頭数が1豚舎当たり1~4頭と、通常の0~2頭より増えた。養豚場側が5月9日に民間検査機関に検査を依頼し、別の検査機関で追加検査したところ、同月24日に豚熱の疑いが判明したため県に届け出た。

 3月ごろには繁殖・離乳舎の豚で「サーコウイルス感染症」が確認されたため、当初は同感染症を疑っていたという。農水省の担当者は「死亡頭数が増えていたのであれば、豚熱を疑って速やかに通報してほしい」と話す。

 金網フェンスで野生イノシシの侵入防止対策が取られていたが、豚舎のドアや防鳥ネットのほか堆肥舎の壁にも破損が多く見つかり、野生動物を呼び込む要因となる可能性があると指摘した。

 作業員や外部業者が衛生管理区域内に入る際の消毒などは適切に行われていた。ワクチン接種でも問題は確認されなかった。農水省は今後、詳細なデータを基に侵入経路などを検証し公表する。