ロースカツの厚さは、実に2センチほど。口にすると、思った以上に柔らかく、肉本来のうま味を楽しめる。皿に添えられたリンゴ入りポテトサラダとの相性も抜群だ。
カツライス定食(千円)は、カツ丼(850円)やカツカレーライス(千円)と並ぶ店の名物メニューとして、常連客の人気を呼ぶ。
店主の板橋和三(いたばしかずみ)さん(75)は中学卒業後、市内のそば店で修業し、16歳で家業の食堂を継いだ。約20年前、常連客から「何か目玉となるメニューがあったほうがいい」と提案を受け、採算度外視で販売したのが持ち帰り用の肉厚カツ丼だった。注文が増えるとともに、肉厚のとんかつ料理が店のメニューにも加えられた。
とんかつは地元産のロース肉300グラムを使い、7、8分揚げた後、余熱でうまみを閉じ込める。自らを「慎重なタイプ」と評するだけあって、調理に関する一切の手間を惜しまない。
ここ数年は常連客に加え、交流サイト(SNS)の普及で県外からの若い客も増えたという。
来年は店を継ぎ、60年を迎える。「動けるうちは精いっぱいやるだけ」と、老舗食堂の店主に気負いはない。
▼メモ 小山市松沼486。午前10時半~午後7時。日曜定休。(問)0285・37・0022。