4月下旬から5月上旬にかけて、栃木県東部で目撃情報が相次いだ国特別天然記念物のニホンカモシカ。最初に目撃された真岡市内で5月10日、ニホンカモシカの死骸が見つかった。これまで生息が確認されていない県東部になぜいたのか。そもそもニホンカモシカとはどんな動物なのか。真相を探ってみた。

ニホンカモシカの生態
栃木県立博物館によると、ニホンカモシカはウシ科の草食動物で、1955年、国特別天然記念物に指定された。カモシカと言われるのは、ニホンカモシカの他にもタイワンカモシカなどの種類が存在するが、国内の自然界にいるのはほぼニホンカモシカだという。
ニホンカモシカは基本的に群れは作らず、それぞれの個体が縄張りを持つそうだ。成長すると、大きさは鼻からおしりまで約1メートル、体重は30〜45キロにもなる。自然界では10年以上生きる個体もいるが、食べ物が得られず5、6年で亡くなってしまうことも多いという。
雄雌ともに短い2本の角を持ち、年を重ねるごとに角は少しずつ成長する。角には溝があり、1年におおむね1本ずつ増えていくため、個体のおおよその年齢は溝の数で判断される。
県東部での目撃情報
県東部で最初に目撃情報があった場所は真岡市内。真岡市によると、4月29日朝から5月1日午前にかけて真岡市下籠谷(しもこもりや)、亀山、大和田、石島と、北から南へ下るように情報が相次いだ。2日朝には真岡市久下田の芳全(ほうぜん)寺に向かう坂の途中で近隣住民が目撃。更に南下していたとみられる。
4日午後には、上三川町上三川の畑で目撃された。農作業をしていた50代男性が「ニホンカモシカが畑の中にいる」と110番した。
目撃情報を募ってみた
その後の行方を探るため、下野新聞デジタル報道部は9日午後6時から、X(旧ツイッター)やインスタグラムを活用し、ニホンカモシカとみられる動物の目撃情報を募集。10日正午までに2件の情報が寄せられた。