能登半島地震の被災地を支援するため、建設・産業廃棄物業のピースノート(栃木県宇都宮市鶴田町、河村公威(かわむらきみたけ)社長)は29日までに、医療用コンテナ2基を石川県珠洲市の避難所に届けた。同社が災害支援でコンテナを提供するのは初めて。国は災害時の医療コンテナ活用に向けた取り組みを進めており、同社も同県などと連携して被災地の医療体制構築を支援する。
同社は2020年、コンテナ型診療所「モバイルクリニック」を発売。感染症にも対応した陰圧設備もあり、これまでに国内外約40カ所に販売した。
コンテナは医療機器を搭載したまま移動可能で、プレハブと比べ強度も高いことなどから東日本大震災などの災害現場で活用されてきた。災害対策として、厚生労働省や内閣官房国土強靱(きょうじん)化推進室は昨年度から医療コンテナ活用の検討を進めており、同社も情報提供などで協力してきたという。
今回の地震を受け、同社は自社で何かできないかと今月6〜8日に社員が現地調査をしたり、モバイルクリニックを販売した病院に協力を呼びかけたりして支援策を模索。同県からの依頼もあり、厚労省などと協力して2基のコンテナを提供した。
提供したのは、協力に応じた「篠原湘南クリニック クローバーホスピタル」(神奈川県藤沢市)のモバイルクリニックと、同社所有で災害支援用に急きょリメークしたコンテナ。いずれも長さ約6メートル、幅約2・4メートル、高さ約2・8メートル。診察用の机やベッド、点滴台、発電機などを備える。
同社が珠洲市飯田小の避難所に運搬し、22日に設置が完了した。同避難所には20日時点で約120人が避難する。コンテナでは災害派遣医療チーム(DMAT)が診察・処置を行うほか、感染症患者の一時隔離、被災者の要望に合わせた対話スペースの確保などさまざまな用途で利用される。
現地に出向いた同社第一営業部の田中毅(たなかつよし)部長は「長期避難で体調を崩す人もいるかもしれない。追加要請にも応えられるよう検討したい」と話した。
厚労省によると、石川県内の避難所などには現在、計16基の医療用コンテナが配備されている。