黒板アート甲子園で5位相当となった壬生高美術部員と藤本講師(右)

壬生高美術部が制作した「食うか食われるか」

黒板アート甲子園で5位相当となった壬生高美術部員と藤本講師(右) 壬生高美術部が制作した「食うか食われるか」

 【壬生】壬生高美術部が制作した黒板アート作品「食うか食われるか」がこのほど、「日学・黒板アート甲子園2023」の黒板の部(メイン大会)で5位相当の入賞を果たした。テーマはすしで、縦1・2メートル、横4・5メートルの黒板全面に描いた大作。遠近感や構図のバランスの良さに加え、すし一つ一つを丁寧に描き「チョークの粉っぽさを感じないほどしっとりと鮮やかに」表現したと評価された。2年大塚環(おおつかたまき)副部長(17)と同内藤桐花(ないとうきりか)元副部長(16)は「より良い作品にしようとみんなで話し合い取り組んだので、結果が出てうれしい」と振り返る。

 黒板にチョークで描いた作品の出来を競う同大会は、黒板・ホワイトボードメーカーの日学(東京都品川区)が主催し、2015年に始まった。今回の黒板の部には全国から127点の応募があった。

 壬生高美術部が同大会に挑戦したのは、同部の藤本夢(ふじもとのぞみ)講師(22)の提案がきっかけ。藤本講師は同部OGで、自身の代の時に同大会への挑戦を始めたものの、新型コロナウイルスの影響などで近年は途切れてしまっていたという。

 原画を担当した大塚副部長が「つやのあるものを黒板で描いてみたい」と思い立ち、テーマがすしに決定。すしおけから飛び出したマグロやイワシ、穴子などを1匹の竜に見立て、箸を持つ人間の手と対峙(たいじ)する構図を考えた。

 制作中は部員同士で気になった点を伝え合い、チョークを立てたり寝かしたりして米のつや感を出すなど工夫した。スポンジや消しゴムを使って影を作り、立体感を出す技法も取り入れた。夏休み中の5日間で集中し、見事に描ききった。

 藤本講師は「部員たちは通常1人で一つの作品を描くが、黒板アートは全員で同じ気持ちを共有しないと完成しない。よく頑張ったと伝えたい」と生徒をたたえた。