どんなタイミングで撮影すればよいか、取材現場で先輩や同業他社のシャッター音を聞くことは勉強の一つだった。ところが無音撮影が可能なミラーレスカメラが広く浸透し、それができなくなっている。
本社にもミラーレス化の波がやってきている中、まだ主流はシャッター音を発する一眼レフ。昨春に現職となり、全国の写真記者が集まる現場へ部員を送り出す際、音に耳を澄ますことも大切だと説いてきた。
しかし、部員は取材を終えると「周囲からシャッター音が聞こえない」とぼやく。カメラがフィルムからデジタルへ進化した時代に感じたような隔世の感を覚えた。
先月、高校スポーツの全国大会の取材へ行き、習熟のためミラーレスカメラを使った。撮影時、電子音が出る設定にしたが声援で聞こえず、一眼レフ特有の振動も皆無。撮れたのか、感触がなく不安だった。
今も昔も「使って慣れろ」か。父からもらったフィルムカメラを初めて手にした時の初心に返った。