マウンテンバイクの全日本選手権エンデューロ男子ユースで初代王者となった幾田。来年は海外での活躍も期待される=足利サンフィールドマウンテンバイクパーク

幾田悠雅

マウンテンバイクの全日本選手権エンデューロ男子ユースで初代王者となった幾田。来年は海外での活躍も期待される=足利サンフィールドマウンテンバイクパーク 幾田悠雅

 マウンテンバイク(MTB)の第36回全日本選手権が7月に長野県内で行われ、宇都宮工高1年の幾田悠雅(いくたゆうが)(輪娯館)が今大会から設けられたエンデューロ部門の男子ユース(16歳以下)を制し、初代王者に輝いた。その優勝タイムは男子エリート(17歳以上)をも上回り、「優勝できるとは思っていなかった。今年一番の目標だったのでうれしい」と充実の表情を見せる。

 エンデューロは山中に設けられた細く険しい複数のコースを下り、合計タイムの速さを競う種目。大会は総走行距離11・2キロの全3ステージで争われ、幾田は男子エリートの優勝タイムを1秒60上回る通算6分18秒70で走破。「段差が多く、得意なタイプのコースでうまく加速ができた」と勝因を振り返る。

 競技を始めたのは2021年春。自転車好きの父・修一(しゅういち)さん(51)に誘われ、長野県内で行われたMTB体験会に参加した。「高速で山道を下るスリル感にはまった」。ダウンヒル、クロスカントリーなどもある中、エンデューロは「自転車のデザインが格好良かったから」と若者らしい理由がきっかけだった。

 小学生の時にモトクロスバイクで遊んでいた経験があり、バイクのコントロールにはすぐに順応。小、中学生とサッカー部だったためスタミナと脚力にも自信があった。出場した大会で次々と優勝すると、21年から参戦する年間シリーズ戦「エンデューロ・ナショナル・シリーズ(ENS)」では昨季、プロ選手を抑えて初の年間総合優勝。今季も優勝し連覇の快挙を達成した。「練習を重ねるたびに成長を実感でき、本当に楽しい」と声をはずませる。

 今年10月には韓国で海外デビューも果たし、男子エリート部門で2位。来年はスイスなどを転戦する世界最高峰のワールドカップのジュニア部門に出場する予定で、「日本人で決勝に進める人はほとんどいない。まずは予選突破を目標に頑張りたい」とさらなる飛躍を見据えている。