「検察判断 遺族にどう映る」。若手の頃、当時の率直な疑問をつづったコラムは、そんな見出しだった。

 益子町で2003年、中学生2人が飲酒運転の車にひき逃げされ死亡した事故で、宇都宮地検は危険運転致死罪適用を見送った。コラム掲載はその判断の6日後。「素直には納得できず、地検を訪ねた」と記した。

 「運転開始時に正常な運転が困難な状態だったと認定するのは難しい」。理由を聞いたが、釈然としなかったのを今も覚えている。

 あれから20年。宇都宮市の新4号国道で、オートバイの男性が時速160キロ超だったとされる車に追突され死亡した。遺族らは過失致死罪で起訴された被告の罪名を、より法定刑の重い危険運転致死罪へ変更するよう地検に訴えている。

 なぜ「危険運転」ではないのか。01年の新設以降、法改正を重ねながらも疑問の声は全国で上がる。危険運転致死罪は裁判員裁判の対象。訴因変更された場合、裁判員の市民の目に、宇都宮市の事故がどう映るのだろう。