海鮮釜めし

歴史を感じる外観の店舗

海鮮釜めし 歴史を感じる外観の店舗

 約100年続くには理由がある。その秘密に迫りたくて、昭和元年創業の釜飯専門店「銀釜」を訪ねた。

 定番の「海鮮釜めし」(1800円)を注文した。炊き上がるまで約20分。火加減は目が離せず、付きっきりでの調整が必要という。店内に飾られているビートたけしや綾瀬(あやせ)はるかなどのサインを眺めていると、漆塗りの台に乗った鉄釜が登場した。

 ふたを開くと、食欲をそそる匂いと湯気が立ちこめる。具材はカニ、エビ、タイ、ホタテにイカの「魚介オールスター」だ。鶏をベースにしたしょうゆ味。一緒に炊き込まれて混然一体となり、絶妙な味わいだ。思わず、口内をかんでしまった。「焦るな、俺」。そう言い聞かせた。

 何よりも、釜が深い。スプーンで掘っても掘っても底にたどり着かない。釜内で米が「踊る状態」にするためには、この深さが必要なのだという。底のお焦げは、魚介のうまみが染み込んでいた。

 3代目社長の本多由紀夫(ほんだゆきお)さん(66)は「鮮度の良い国産の食材をできる限り使っている。何十年も通ってくれるお客さんの舌はごまかせないので、安価な外国産に変更できない」と明かす。11月10日からは冬の定番「かき釜めし」がスタートする。待ち遠しい。

 ▼メモ 足利市通2丁目2627。午前11時半~午後2時、同5~9時(ラストオーダーは8時)。火曜夜、水曜定休。(問)0284・21・2657。