栃木市は12日、育児相談や授乳指導などの産後ケアを利用する際の市民の自己負担額を11月から無料化すると発表した。国の補助金や県の支援事業に市の予算を上乗せする。産後ケアの利用拡大を図り、子育て支援を充実させる狙いだ。同市によると自己負担額の無料化は県内市町で初めて。

 産後ケアは出産後に育児への不安や心身の不調がある母子に対し、原則産後1年まで、育児相談をしたり、授乳や沐浴(もくよく)の指導をしたりする。国の補助を受けて市区町村が実施しており、医療機関などへの短期入所型や通所型、助産師が利用者宅に出向く訪問型がある。

 同市では近年の年間出生数800人弱に対し、昨年度は166の母子が延べ359回利用した。同市の短期入所型1回の自己負担額は5千~1万8千円で、経済的な理由で利用をためらう母親もいるという。

 国は本年度、自己負担額からケア1回当たり最大2500円を減免する制度を導入。県も残りの半額(上限1250円)の補助を始める。同市は残る自己負担分を全額支援する。

 同市の無料利用は原則7回までで、食事代も含める。4~10月の利用にもさかのぼって適用する。助産師が利用者宅へ訪問するエリアも市内限定から里帰りした市民がいる県内全域へ拡大することとした。本年度当初予算に410万円を計上した。

 同市健康増進課は「お母さんが相談しやすい環境を整えることで、少しでも子育ての安心につながれば」としている。